いじめについての治療や対処方法をまとめたページです
関係嗜癖とCPTSD トラウマフォーカスト・アプローチ
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当サイト「いじめについて」の内容をPDFファイルでダウンロードしていただくことができます
【配布用 チラシ】
こちらのチラシはプリントして配布用としてご利用ください。(クリックするとPDFファイルが開きます)
いじめは広義の依存症 みんなで止めよう! ダウンロード[265KB]
【配布用 チラシ②】
こちらのチラシはプリントして配布用としてご利用ください。(クリックするとPDFファイルが開きます)
葛飾区内のいじめ関連の医療相談を受け付けます ダウンロード[394KB]
【参考】
北杜市いじめ問題専門委員会による北杜市立中学校でのいじめ事案に対する報告書です。(クリックするとPDFファイルが開きます)
北杜市いじめ問題専門委員会調査報告書 ダウンロード[ 8MB ]
関係嗜癖と複雑性PTSD
関係嗜癖の人が他人をコントロールしようとすると、虐待行為が始まります。
関係嗜癖によるいじめ、児童虐待、DV、パワハラなどの虐待行為は、被害者が複雑性PTSDを発症するまで、酷くなっていきます。最終的には、被害者が大けがをしたり、複雑性PTSDを発症して自殺をしたり、殺されたりします。
いじめ、児童虐待、DV、パワハラなどの虐待行為などの問題が発覚した時点で、トラウマインフォームドケアを開始し、被害者を全面的に援助しなければなりません。
まず、被害者の安心、安全が守られるようにします。
トラウマケア・トラウマインフォームドケアに反する行為は全て、マルトリートメントです。加害者だけではなく、虐待行為を放置した全ての人が、マルトリートメントを行っています。
加害者とマルトリートメントを行った人が、被害者の複雑性PTSDを悪化させます。
教員や教育委員会が、いじめ問題を積極的に扱って、トラウマインフォームドケアを行っていかなければいけません。
いじめ隠蔽は、マルトリートメントの最たる行為です。
複雑性PTSDを提唱したHerman(1992)は「極限状況の生存者の執拗な不安、恐怖、恐慌は通常の不安障害と同じものではない。生存者の身体症状は通常の心身症と同じものではない。その抑鬱は通常の鬱病ではない。また、同一性障害及び対人関係障害は通常の人格異常と同じものではない」とした。これについて「性格で全体を包括する診断概念が欠落している」と批判した。すなわち「長期間反復性外傷の生存者の症状はしばしばはるかに複雑」で「長期虐待の生存者は特徴的な人格変化を示し、そこには自己同一性オヨ浴び対人関係のゆがみも含まれる。」と述べています。
「新外傷性精神障害」では、トラウマ後の疾患として、心的外傷後ストレス障害、解離性同一性障害、自傷行為や自殺企図、その他の解離性障害、境界性パーソナリティ障害、身体化障害、適応障害、うつ病、うつ状態、パニック障害、摂食障害、素行障害、自己愛パーソナリティ障害、回避性パーソナリティないしは社交不安障害、強迫神経症、ないしは強迫性パーソナリティ障害、ヒステリーなどの多数の病名が挙げられています。今後、上記の診断名の多くが複雑性PTSDにとってかわっていくでしょう。
いじめ問題が発覚した最初期に、トラウマインフォームドケアを行い、専門的なトラウマケアを受ける必要があります。
トラウマフォカスト・アプローチ
米国心理学会(American psychological association、2017)の「PTSD治療のための診療ガイドライン」では、成人のPTSD治療のうちもっとも強く推奨される治療プログラムは、PE療法 (Prolonged Exposure Therapy: 長時間曝露療法),CPT(Cognitive Processing Therapy : 認知処理療法), EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing : 眼球運動夜による脱感作と再処理法), CBT(Cognitive Behavioral Therapy : 認知行動療法)の 4つです。
子どもの PTSDへの心理治療については,米国児童青年精神医学会 (American Academy of Child & Adolescent Psychiatry)が 発行したガイドライン (Cohen et al., 2010)において, TF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy : トラウマフォーカスト認知行動療法)が第一選択治療として推奨されています。
PE療法の進行
セッション 1 プログラムの目的と技法の説明,トラウマ面接,呼吸法の指導
セッション 2 PTSDの心理教育実生活内曝露の原理説明,不安階層表作成と練習課題
セッション 3 イメージ曝露の原理説明と実施,プロセシング,実生活内曝露の実施
セッション 4~10 イメージ曝露(ホットスポットヘの焦点化),実生活内曝露の継続
セッション 11 イメージ曝露(全体のおさらい),進歩の振り返りと今後に向けて
CPT(Cognitive Processing Therapy : 認知処理療法)
1 おだやかに考え直す(認知療法)
2 スタックポイント(引っかかり)
PTSDからの回復を妨げる考え方・認知のことを、スタックポイントと言います。これは人によってさまざまです。その人固有の“引っかかり”を見つけることで、PTSDをときほぐす作業が始まります。
3 5つのテーマ
安全、信頼、力とコントロール、価値、親密さ
4 感情を大切にする
5 時間が限られた療法である
6 集団にも実施が可能
7 関係性を重視する
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing : 眼球運動夜による脱感作と再処理法)
EMDRは、適応的情報処理(AIP)というモデルに基づく、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、エビデンスのある心理療法です。
CBT(Cognitive Behavioral Therapy : 認知行動療法)
認知に働きかけて気持ちを楽にする精神療法(心理療法)です。
トラウマを体験した子どもに対する科学的根拠に基づいた効果的な治療法として、TF-CBT(Trauma-Focused Cognitive Behavioral Therapy : トラウマフォーカスト認知行動療法)があります。
TF-CBTの治療構成要素「PRACTICE」(Cohen et al., 2017)
トラウマに焦点を当てた構成要素
Psychoeducation about child trauma and trauma reminders 子どものトラウマとトラウマリマインダーについての心理教育
Parenting skills ペアレンティングスキルを含む養育に関する要素
Aelaxation skills 子どもと養育者それぞれへのリラクセーションスキル
Affective expression and modulation skills 子ども・家族に合わせた感情調整のスキル
Cognitive coping: connecting thoughts, feelings and behaviors 認知コーピング:考え・感情・行動のつながり
Trauma narration and processing トラウマ・ナレーションとプロセシング
I n vivo mastery of trauma reminders 実生活内での段階的曝露
Conjoint child-parent sessions 親子合同セッション
Enhancing future safety and development 将来の安全と発達の強化
悲嘆に焦点を当てた構成要素
悲嘆の心理教育
喪失を悼むことと個人の両価的な感情の解決
個人の良い思い出を記憶にとどめる
個人との関係を再定義し、現在の関係に向き合う。
参考文献
精神科治療学Vol.36No.2Jun.2020、P201-207
依存症・嗜癖を見るための標準治療と技能
子どものトラウマと悲嘆の治療―トラウマ・フォーカスト認知行動療法マニュアル、金剛出版、ジュディス・A・コーエン、アンソニー・P・マナリノ、エスター・デブリンジャー著
子どものためのトラウマ・フォーカスト認知行動療法マニュアル、岩崎学術出版社、ジュディス・A・コーエン、アンソニー・P・マナリノ、エスター・デブリンジャー著
性格を変えるための認知行動療法ノート、大和出版、倉成 央著
臨床心理学第20巻第1号2020年1月P27-31複雑性トラウマ(Complex PTSD)、田中究
臨床心理学第20巻第1号2020年1月P43-47トラウマフォカスト・アプローチ、亀岡朋美
「心的外傷と回復」みすず書房、ジュディス・L・ハーマン著
「新外傷性精神障害」岩波学術出版、岡野憲一郎著